裁かれた“コメント屋” 乙骨を斬る(5) <2002/10/02 創価新報>


裁かれた“コメント屋”乙骨を斬る 第5回

東京地裁
 墓苑開発めぐり学会中傷の大ウソ
 事実無根の講演に50万円の賠償命令
 ――1999年8月30日、和歌山県・下津町――


<取材も確認もせずデマ流す>
弁護士
「(墓苑についての講演は)当然、事実関係については確認した上で話をされているのですね」

乙骨
「もちろんそうです」
       ↓(数分後)
弁護士
弁護士「あなた自身は謄本等を取って調べましたか」

乙骨
「私はこの墓苑の記事に関しては取材をしていませんから、調べておりません」

予想以上に厳しい判決
 ガセネタ屋・乙骨のいいかげんさが、またもや法廷で断罪された――。
 9月18日判決言い渡し(東京地裁538号法廷)。
 原告・創価学会、被告・乙骨正生。
 「被告は、原告に対し、50万円及びこれに対する平成11年8月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。本件反訴を却下する。訴訟費用は、本訴反訴を通じてこれを5分し、その1を原告の負担とし、その他を被告の負担とする」
 淡々と判決主文を読み上げる岩田好二裁判長。学会側の主張を全面的に認め、乙骨が犯した名誉棄損に対して損害賠償50万円の支払い命令。乙骨の愚行が厳しく断罪されたのだ。
 そもそも、事件の発端は、1999年8月30日に遡る。この日、和歌山県・下津町で行われた「仏教講演会」には、坊主や町民約200人が集まっていた。この集会で乙骨は、北海道・厚田村にある「戸田記念墓地公園」について、まったくの事実無根のデマを流し、聴衆を惑わしていた。
 乙骨は講演の中で、墓苑の用地購入に当たり、次のような発言を繰り返した。
 「ペーパーカンパニー、実体のない会社を、2回くぐらせて学会が買ってるわけです」
 「この会社どんな会社かなと思って登記調べたんです」
 「実は、そういうところを通す間に、裏金にしていくんだ」
 あたかも、自分が調べてきたかのように聞こえるが、もちろん、いつも通りのウソの受け売りだ。
 この、あたかも学会が土地の取得を通して裏金を作っているかのように印象づける、極めて悪質なウソは、とっくにバレていた。
 実は、この裁判が提起される4カ月前、01年7月16日の「週刊新潮」による「北新宿地上げ捏造報道」の法廷で、乙骨は、これらの講演内容のいいかげんさを、学会側弁護士から厳しく追及され、立ち往生してしまったのだ。
弁護士
「あなたは創価学会の墓苑について、新潟県の小国町や和歌山県の下津町において、いろいろ講演されていますよね」
 
乙骨
「はい」

弁護士
「当然、事実関係については確認した上で、事実に基づいて話をされているということでよろしいですね」
 
乙骨
「もちろんそうです」
 尋問の冒頭、自信ありげに話す乙骨。しかし、その舌の根も乾かないうちに、前言が覆されていく。
弁護士
「(二つのうち)もう一つのペーパーカンパニーというのはどこですか」
 
乙骨
「名前は覚えていません」

弁護士
「あなた自身は謄本等を取って、どういう会社かを調べましたか」
 
乙骨
「私はこの墓苑のこの記事に関しては取材をしていませんから、直接取っていません」

弁護士
「自分の取材活動の範囲内でそういった基礎的なことは調べましたか」
 
乙骨
「いや、調べておりません」
 そう、やっぱり取材も事実確認もしていないのだ。
 もともと、こうした墓苑をめぐる愚劣な作り話は、反学会紙「継命」の20年も前の記事や元恐喝犯・山崎正友の手によるもの。要するに乙骨は、“デマ情報”を鵜呑みにし、そのまま垂れ流していたことを、法廷で白状してしまったのだ。“ジャーナリスト”が聞いて呆れる。


あまりに不誠実な訴訟態度
 01年11月30日、学会は、和歌山・下津町の仏教講演会での乙骨の講演について、東京地裁に名誉棄損の訴えを起こした。
 さすがの乙骨も「北新宿裁判」で、明らかなウソと、全く取材していないことを追及され、懲りたのか、この「下津町・墓苑デマ裁判」では、本来、名誉棄損訴訟で被告が行うべき、発言内容の「真実性」、真実であると信ずるに足る「相当性」の主張、立証を一切、行おうとしなかった。
 そのかわりに、いよいよ破れかぶれになったのか、何と学会の訴えが「訴権の濫用」であるなどという荒唐無稽な主張で抗弁してきた。
 このこと自体、乙骨の発言が、真実性を一切、証明することができないほどの、全く根拠のない、デタラメな代物であるということを、乙骨自らが露呈している何よりの証拠であった。
 さらに、乙骨は、本件の審理と全く関係ない、これまた支離滅裂な「反訴」を提起した。これこそ、常軌を逸した、敗訴逃れ以外の何ものでもなく、訴訟攪乱の悪あがきと言えよう。むしろ、保身のために「訴権を濫用」しているのは乙骨の方なのだ。
 判決でも、「本件反訴は本件本訴との関連性を欠く不適切な訴えであり、却下を免れない」とあっさり一蹴された。
 この裁判で、さらに乙骨の卑劣な人間性を如実に示したのが、いよいよ結審かという時に至って、それまでの主張を一転、事実審理を求めてきたことだ。このような乙骨の不誠実な訴訟態度には、さすがの裁判長も呆れ果てた表情を隠せなかった。
 事前の書類提出も遅れに遅れ、裁判をのらりくらりと引き延ばすだけ引き延ばそうとする、往生際の悪い乙骨の醜態。
 結審となった9月2日――。
 裁判長「本件はすでに判決の機が熟していますので、次回判決とします」
 乙骨側弁護士「機が熟しているとはどういうことか、理解しかねる」
 裁判長「機が熟したというのは、判決するに足る資料が提出されているということであって、それ以上でも、それ以下でもありません」
 判決は約2週間後という異例の早さ。乙骨の法廷における不誠実な態度は、裁判長の心証を悪くする一方であった。
 結果は、50万円の賠償命令に加え、訴訟費用の5分の4の負担を乙骨に命じる、予想以上に厳しいものであった。
 判決言い渡しの場には、代理人の弁護士にも見放され、疲れ切った表情の乙骨がたった一人でやってきた。判決を聞いた乙骨は、逃げるように裁判所を後にした。


他人の仕事を“自分がやった”と
 そもそも今回の事件は、乙骨が、自ら取材もせずに、他人の記事や情報をそのまま横取りして使うといった、エセジャーナリスト特有の失態が招いた不祥事である。そして、乙骨の場合、このような醜態が恥ずかしげもなく常態化している。
 たとえば、これも「北新宿地上げ捏造裁判」の法廷で明らかになったものだが、乙骨は学会の土地取得に難癖をつけようとして、「創価学会所有地推移一覧表」なる書面を裁判所に提出。これを、あたかも自分が作成したかのように陳述していたのである。
弁護士
「これは非常に詳細な内容で、作るのには相当の労力を要したんではないですか。だいたいどのくらいの時間が掛かりましたか」

 
乙骨
「数人に手伝ってもらって、2週間ぐらい掛かったでしょうか」
 いかにも、自分が中心になって作ったかのように言っているが、ちょっと突っ込まれるとたちまち答えがあやふやになっていく。
弁護士
「(面積の)小数点以下を切り捨てて書いてあるのはどうしてですか」

 
乙骨
「打ち間違ったのかな。何か意図があってやったんですかね?」
 何であんたが聞くのよ?と、傍聴していた人も思わず、わが耳を疑ってしまう間抜けな答弁。
弁護士
「あなたが作った本人だったら……」

 
乙骨
「だから、その辺はもう急いで作りましたから、打ち間違ったり、その辺のことはあったかもしれません」
 ここでも、また、すぐ開き直る乙骨のクセが。
弁護士
「あなたは協力を得たにしても、本当に自分で登記簿謄本を取って、自分でこの表を作ったのですか」

 
乙骨
「だから、全部が自分でやったわけじゃありませんって、さっきから申し上げているでしょう」

弁護士
「打ったのはだれですか」

 
乙骨
「講談社のスタッフに打ってもらいました」

弁護士
「じゃ、あなたが作ったわけじゃないんですね」

 
乙骨
「まあ一緒に、共同作成ですよ」
 結局、乙骨が作ったのではないのだ。
 この後、同様の資料を講談社発行の「FRIDAY」が更新しているが、乙骨はそれを知らずに、古い資料を裁判所に提出していた。
弁護士
「(更新されたものは)『FRIDAY』が作った書類ですね」

 
乙骨
「いや、だから共同作成したものということでいいんじゃないでしょうか」

弁護士
「あなたはそういうことをこれまで(陳述書等に)書いていないですよ。あなたはこれまで、自分が全部調査して一人で作ったように書いていますよ」

 
乙骨
「だから、共同で作ったということですよ。そんなことをいちいち書く必要があるんですか」
 すべてが、こんな具合なのである。
 一つのガセネタを何度も使い回して飯のタネにし、揚げ句の果てに、そのウソが法廷で裁かれる乙骨。こんな危険な「デタラメ男」を使う、雑誌メディアもまた、お粗末というほかない。